本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
抗がん剤治療で生じる大きな副作用は吐き気ですが、吐き気以外にもホットフラッシュという症状が出ます。
ホットフラッシュは吐き気が落ち着いた時に出やすいので、「せっかく良くなったのに」とメンタルが削れて、「次はいつ症状が出るかな」とドキドキすることが多いです。
今回は、ゆりさんが経験したホットフラッシュの症状、対処法についてのお話になります。
ホットフラッシュとは、のぼせ・動悸・発汗が突然起きる症状
「ホットフラッシュ」とは突然、のぼせや動悸、発汗が起きる症状です。
抗がん剤の薬は全身療法と呼ばれていて、髪の毛に作用すると脱毛するように、卵巣に作用するとホルモンバランスが崩れてホットフラッシュが出ます。
ホットフラッシュのタイミングが読めず、つらい思いをしたことも
女性は年齢を重ねると更年期障害と呼ばれる体の変化がありますよね。
更年期障害の症状にも発汗やほてりがあり、ホットフラッシュといえます。
ホットフラッシュのタイミングに規則性はなく、場所や時間を問わず突然症状が出るのが私は1番しんどかったです。
1度、職場でのカンファレンス中に急にホットフラッシュが出てしまい、暑くもないのに私1人だけドバーっと汗をかいてしまった時がありました。
その時は恥ずかしいし、その場からは立ち去れないし…とてもつらい思いをしました。
体調の良い時ほどホットフラッシュが出る
抗がん剤治療の一種であるAC療法をすると、投薬後2週間の休薬期間があります。
休薬期間の1週目は結構しんどいですが、2週目には吐き気もかなり落ち着いてきて、外出したり、友だちと食事に行ったりしていました。
しかし、こうして体調が良く外出している時に限ってホットフラッシュが出るんです。
出先や移動中の電車の中で、突然汗が出てきて、心臓はドキドキして、のぼせて頭はぼーっとしてくるんですよね。
本当に…ただただしんどかったです。
抗がん剤治療中はホットフラッシュの対処法がない
本来、更年期障害が原因でホットフラッシュがある時はホルモン療法で症状を軽くできます。
でも、抗がん剤治療中はホルモン療法ができないので、薬で症状を軽減できないんです。
対処法がないので、抗がん剤治療者にホットフラッシュが出ていても症状が軽ければ経過観察となることが多いです。
実際に私も薬は使いませんでした。
ホットフラッシュで1番嫌なこと…
ホットフラッシュが出ると突然大量の汗をかきます。
動悸などの症状はやり過ごせますが、汗をたくさんかいて被っているので、ウィッグがずれてしまうのが私は1番嫌でした。
ウィッグを被っている方は分かると思いますが、ウィッグの中はすごく蒸れます。
私はウィッグを着用するようになってからは、スキンヘッドにして「インナーキャップ」っていう滑り止めが付いた水泳帽みたいな帽子を被ってからウィッグを着けていました。
そのインナーキャップの滑り止めが汗をかくとずれるんです。
インナーキャップがウィッグの中でずれるのは感覚ですぐ分かります。
なので「あ、ずれた!」と分かった時の絶望感はすごかったです。
大量発汗の対処法は、制汗剤や吸水パッド
汗でウィッグがずれるのを防ぐための方法は2つあります。
①:脇汗をケアするためのロールタイプの制汗剤を頭に塗ってからウィッグを装着する
②:生理用のナプキンや吸水ライナーを頭とキャップの間に挟んで汗を吸わせる
ホットフラッシュは抗がん剤治療をしているほとんどの方が経験していますし、ウィッグを着用している方も多いので、より良い対処法ができるといいですよね。
ホットフラッシュが起きると自分はどうなるかを知っておく
私はホットフラッシュが出ている時にイライラすることがよくありました。
イライラしている時の相手への受け答えがぶっきらぼうになってしまって…あとから思い出して「なんであんなことしてしまったんだろう」と落ち込みました。
イライラしやすいのは、元からの性格なのか、薬なのか、ホルモンの影響なのかは微妙ですが…抗がん剤治療で気持ちが落ちていて、当時は精神的に不安定だったのは確かです。
なので、「イライラして人に優しくできなくて、あとから振り返ってしんどくなる」というのもホットフラッシュが原因だと知っておいてほしいです。
「ホットフラッシュが起きた時に、自分はこうなる」とか「周りの人にこう対応しがち」というのが分かっていれば、メンタルが不安定でも落ち着きやすくなるのでおすすめです。
ホットフラッシュが起きたときの自分の傾向を知っておくと、いざホットフラッシュが起きた時に、「言葉を口にする前に一旦落ち着こう」「相手へかける言葉に気をつけよう」と考えられるようになる