悪心(おしん=吐き気)・おう吐は、抗がん薬治療でよく起こる副作用の一つです。女性は男性よりも起こりやすいと考えられています。

原因は、セロトニンといったような神経伝達物質によるもの、消化器系への影響によるもの、精神的なものなどがあります。

また、抗がん薬を入れてから24時間以内に起きる急性おう吐、24時間後から1週間程度にかけて発現する遅発性おう吐、抗がん薬のことを考えただけで症状が出る予測性おう吐などに分類されます。

この中でも、急性おう吐は、吐き気止め薬の進歩によって、ずいぶんと抑えられるようになりました。

それに対し、遅発性おう吐への対処は一筋縄ではいきませんが、吐き気止め薬はたくさんの種類がありますので、主治医の先生と相談しながら、あなたに合ったお薬を見つけていきましょう。

また、お薬以外にも、食事で気を付けることや、日々の快適な環境づくりなど、副作用の改善に役立つ情報をご紹介します。

原因

全てはわかっていませんが、次のようなことが起こっていると考えられています。

POINT
  • 神経伝達物質の放出:抗がん薬が脳や消化管に影響すると、セロトニンなどの神経伝達物質が放出され、その神経伝達物質が脳にある『おう吐中枢』も刺激する。
  • 消化器系への影響:抗がん薬は、胃や腸などの消化器系の蠕動運動(ぜんどううんどう:消化器系が伸びたり縮んだりすることで、体内の食べ物を体の外に出そうとする運動のこと)を弱めることがあるので、食べ物が消化や吸収されにくくなり、吐き気やおう吐を引き起こす。
  • 精神的な影響:一度抗がん薬の副作用で吐くと、そのことを思い出し、その後の治療でも吐くようになること。

症状

  • 吐き気:軽度から重度の吐き気が発生し何も食べられない、食べ物のにおいや見た目が気持ち悪く感じ吐き気が起こるなど
  • おう吐:一度で収まることもあれば、何度も続くことも
  • 食欲不振:吐き気や嘔吐により、食欲不振に。食欲不振が続くと、栄養失調のリスクが高まる。
  • 脱水症状:おう吐で水分が失われ、適切な水分補給が行われないと脱水症状に。脱水症状には口の渇き、頭痛、めまい、倦怠感などがある。

治療方法

おう吐は、抗がん薬を入れてから24時間以内に起きる急性おう吐、24時間後から1週間程度にかけて発現する遅発性おう吐、抗がん薬のことを考えただけで出てしまう予測性おう吐などに分類されます。

この中でも、急性おう吐は、吐き気止め薬の進歩により、ずいぶんと抑えられるようになっています。

一方、まだまだ課題が残るのは、遅発性おう吐や予測性おう吐です。これらは吐き気止め薬で抑えられる急性おう吐と違って、原因も様々ですし、精神的なことも絡んできますので、対処が難しい場合があります。

症状を見て、吐き気止め薬、ステロイド薬、胃薬、便秘薬、精神安定薬なども併用しながら、改善するようにします。

また、予測性おう吐の場合は、気分転換も重要な治療方法です。精神安定薬だけではなく、何気ない会話など、リラックスしながら治療を受けられるようにすることだけでも効果があると言われています。

ご自身で出来る予防策、対応策

抗がん薬による悪心・おう吐は、吐き気止め薬なしで乗り越えられるようなものではありません。さらに、遅発性おう吐や予測性おう吐は、吐き気止め薬だけではなく、ほかの対処が必要になることもあります。

ここで、まず一番大切なことは、『あなたの吐き気はどんな時に(寝起き、空腹時、食事中、食後すぐ、寝ている最中、など)、どれぐらいの程度なのか(吐き気を感じる程度、1度ぐらい吐く、吐き出したら止まらない、など)、を正確に知ること』になります。

抗がん薬が投与されてからのあなたの症状を細かくメモ取りするようにしましょう。                                              

・抗がん薬を入れた翌日に、食事中にむかむかとしてきました。それが3日程度続きました。

・抗がん薬を入れた3日後、夜寝ていると、吐き気で起きてしまい、実際に吐きました。 など

このような情報があれば、医師があなたに合った吐き気止め薬と、ほかの対処法を検討するためにとても役立ちます。

食事を工夫することでも、症状を緩和できるといわれています。

POINT
  • 吐き気が少ないときに、おかゆやうどんなどの消化の良いものを、少しずつ食べましょう。刺激の強いもの、生ものなどは避けるほうがいいかもしれません。
    一回ずつの量を減らし、回数を増やす方法もあります。時間にとらわれず、食べたいときに、食べられる量を食べましょう。
  • 精神的なストレスを軽減するために、リラックスしながら食事をする環境を整えましょう。
  • おう吐しすぎると、栄養失調や、脱水症状になる可能性があります。病院での点滴治療が必要になるかもしれませんので、ふらつき、めまい等、いつもと違う症状を感じる場合は、主治医の先生や看護師さん等にご相談ください。

日々の快適な環境づくりも大切です。

POINT
  • おなかを締め付けない、ゆったりとした服装を心がけましょう
  • においに反応して吐き気が出ることがありますので、家の中のにおいがでるもの(芳香剤やお花など)を見直してみましょう。
  • ボを押す、マッサージを受ける、といった身体のこわばりを緩めることや、瞑想することなどが有効であるとの報告もあります。主治医の先生や看護師さん等にご相談しながら、興味があるものを取り入れてみてください。