本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
腫瘍が大きくなり呼吸に影響がでてきたときは、気管切開や気管挿管といったサポート方法があります。治療を続けていく中で、いくつかある治療法の中から選んで決断をしなければなりません。
今回はゆりさんが、腫瘍が大きくなって呼吸に影響がでてきたときに、どのような気持ちで治療を決断したのかという体験談になります。
呼吸に影響ができた理由について
私は、治療を続けていく中で1つの決断をしなければいけません。今かすれ声のため声を聞くだけでわかると思いますが、呼吸に影響が出始めました。
その理由は左側にあったリンパのところの腫瘍が大きくなり、右側の方まで続いてきているということで、首の周辺をかなり圧迫しているという状態だからです。
おそらくパッと見ただけで分かるくらいボコボコになっています。
気管切開と気管挿管について
呼吸を保つには気管切開などいろんなサポート方法がありますが、呼吸器系の先生と話をした中で、どうしても気管切開する場所に腫瘍が被ってしまうとのことでした。
気管切開と気管挿管の違いはすごく大きいんですけど、気管切開の場合にはチューブを入れた後に鎮静という作業が不要な場合があります。
なので、気管切開していても喋ることができるスピーチカニューレ という話すための器具があったり、喋れなくても気道の確保と息ができたら生きていくことはできます。
気管挿管という口からチューブを入れる方に関しては、どうしても鎮静というチューブが入っていることによる脳の反射を抑える投薬が必要です。
生きることに対しては人それぞれだと思うんですけど、私は胸に腫瘍がある状態では、気管切開という方法を選ぶのが難しくなっています。
そうなってしまうと、気管挿管になったときに鎮静下で挿管をして、抗がん剤を続けることになります。
生きる意味による決断について
もし私に効果のある薬がでてきたときには、腫瘍が小さくなり挿管チューブが抜けて、また話すことができるくらい回復することが可能になるかもしれません。
ですが、今の状況では鎮静をして戻ってこられる可能性が少ないんじゃないかと思います。
そう考えた時に「それって、私の中で生きているということには繋がらないかな」と思いました。
そのため呼吸という循環動体に敢為(かんい)することでトラブルが起きた時には、呼吸を補助するわけじゃなく、呼吸が苦しくないような処置をとっていただくことを決定しました。
とは言っても、使っている抗がん剤に一定の効果があり腫瘍が小さくなったり、遺伝子検査をしている中で使える薬がでてきたりするかもしれません。
そのときのために、まだまだしっかりご飯を食べて、治療する体力をつけて頑張っていきたいと思います。
人にとって生きることは、どういう判断になるのかすごく難しいです。
当たり前のようにご飯が食べられる生活を送ってきた中で、生きることの目標がどこにあるのか人それぞれだと思います。
私は、大好きな人たちと話せる時間や過ごせる時間が、生きるということなので気管挿管をしてそれができなくなるということは、私にとっては生きることには繋がらないと判断しました。
暗い話になってしまいましたが、治療中の方がこれを読んで治療を頑張っていこうと思えたり、元気な人に「生きるってすごいことなんだよ」と伝わればいいなと思います。