本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
抗がん剤治療中は免疫力が低下して口内炎ができたり、口の中がむくみ、歯磨きがしづらい状況になる方も多いのではないでしょうか。
しかし、口の中が汚れているだけで肺炎になるリスクが高まります。口は消化管や気管の入り口になるので、きれいに保つことが重要です。
今回はゆりさんが体調悪化したときに感じた口内環境と対処法についての体験談になります。
免疫力が下がってきたときの口内環境
本当に大事な口の中のケアについてお伝えしていきたいと思います。
口の中のケアがなぜ大事なのかというと、口の中の環境が悪ければ肺炎になりやすくなるからです。
「普通に歯磨きをしていたら大丈夫でしょう」と思いますか?でも、抗がん剤を使ったりしていると口内炎ができたり、体がだるくて歯磨きをする気力もなくなります。
私は、ドセタキセルやルボシスプラチンを使ったときに、起き上がれないくらいの副作用がでて入院したことがありました。
そのときに経験した口の中の環境と合わせて、なぜこんなに歯磨きのことを言うのかということをしっかりお伝えしていきたいと思います。
抗がん剤による免疫力の低下がもたらす口内のむくみ
まず、抗がん剤を使っていると免疫力が下がってしまいます。
免疫力が下がってしまうと、ちょっとした風邪から肺炎になったり、栄養バランスが崩れて口内炎ができてしまい、口の中の環境が上手に綺麗に保てないことがあります。
また、倒れてしまったときは、脱水状態になってくると体が水分を確保しようとして、体全体がむくんできます。そのむくんできた時に、口の中もむくんできます。
舌や頬の内側がむくんできたり、歯肉や歯茎もむくんできます。歯茎がむくんでくると、歯茎と頬間の溝にカスなどがすごく溜まりやすくなります。
そうすると、口の中がむくんでいるので、歯ブラシが通らず歯磨きがしづらくなります。
1日きちんと歯磨きしていても舌の上に舌苔といって、白いカスがブワーと溜まったりします。
体調が悪くなったときは、毎日歯磨きしているはずなのに、なぜか口の中に食カスや舌苔が溜まってきます。
「うわ、これってやっぱり体調が悪くなったときに、こんな風に口内環境が悪化していくんだな」と思いました。
抗がん剤治療中に口内を綺麗にケアする方法
私が口内ケアとして使っている物ですごく良かったのが、クリニカのヘッドがかなり小さく3列の柔らかい歯ブラシ です。
歯茎と頬の溝に溜まった残りカスなども綺麗に掃除しやすいと感じました。
他にも柔らかいものなど色々買って試してみたんですけど、むくんでしまうと隙間がどうしても狭くなってしまうのでヘッドの小さな歯ブラシがおすすめです。
4列のタイプの歯ブラシもあるんですけど、私は小回りの利く3列のタイプがおすすめかなと思います。
もう1つは、口腔ケアウエッティという、歯磨きワイプみたいな物です。
普通のウエットティッシュみたいになっているんですけど、中には潤い成分やキシリトールが入っていて、さっぱりしてしっかり保湿をしてくれます。
口の中は乾燥するとバイキンが繁殖しやすい環境になるので、唾液をだすことが大事になってきます。
ですが、唾液がでてこなくなったり潤いが保てなくなったりして口内用の潤いジェルを買おうと思っていました。
むくんで体内には水分あるはずなのに、口内はカピカピで舌もカラカラなうえに白いモロモロが乗っているみたいな感じになります。
口内ケアウェティで、ベロを重点にしっかり拭きあげて、舌の環境を整えたあとは洗口液です。磨き残しがどうしてもあるので、液体でしっかり口の中全体を洗い流すことをやっていました。
口内炎などができてしまうと、洗口液が痛かったりするので病院で洗口液をだしてもらっても良いと思います。
口の中の環境は、体調が悪くなった時にここまで悪化するんだと思い、普段からケアすることの重要性を改めて感じました。
実際に体調が悪くなったときにどのようにケアしていたのか、例を知ってもらうのもいいと思ったので、今回お伝えしました。
がん患者以外でも大事な口内ケア
汚い唾液を飲み込んでしまって、むせて気管に入り肺炎になってしまうことは想像できるので、口の中を綺麗に保つことは本当に大事だと思います。
口内炎などができてしまうと歯磨きを避けたいと思ったりするかもしれませんが、抗がん剤治療をしている方だけではなく、ご高齢の方や若い方もいつ虫歯で歯が全部無くなるかは分かりません。
しっかり口の中のケアをしていただけたらいいなと思います。