本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
一度は治ったはずのがんの再発告知を受けたときは、つらさ、痛み、恐怖などさまざまな心境があります。
今回はゆりさんの局所再発の検査結果を聞いたときの、率直な気持ちのお話になります。
局所再発と治療方針
なぜ私が検査結果の率直な気持ちをお話ししようと思ったかというと、「本当に今感じていることを、ちょっと残していきたいなぁ」と思ったからです。
結果は、局所再発といって首の方に再発があったんですけど、遠隔転移という肝臓や肺などへの転移はまだ確認できないということで、局所再発だけで今後治療を続けていくことになりました。
先生にも「今すぐ命を左右するような病変が見つからなかったのは、本当に不幸中の幸いだと思います」ということを言われました。
実際に、私の型が「トリプルネガティブ」という型です。
そのため、遺伝子的にがんになりやすいところがあるんじゃないかということで、遺伝子を見るための採血も終わらせてきました。
遺伝子的に見て使える薬があれば使っていきますし、今回それに適用しなければ別の抗がん剤を使っていくという方針に決定しました。
覚悟していても受け止められない宣告
やっぱり、眠れませんでした。
自分の中では、眠れていると思っていたんですけど、今日結果を聞いて家に帰ってきたときは、めっちゃ体が疲れていてもうそのまま眠ってしまいたい気持ちでした。
もっとちゃんと休息しなきゃいけなかったんだなと思うくらい、無意識に体も精神もすごく気を張っていたんだなと、実感しました。
私は余命宣告されることも覚悟していましたが、実際に宣告されたときは結局受け止められないんです。
それでも覚悟しているつもりで、また治療を頑張って好きなことして、楽しんでいきたいなぁと思っていました。
実際に私が余命宣告をされることを想定した理由は、この首のしこりの成長度合いでした。
前よりも、だいぶ首のしこりが大きいんですよね。
耳の下あたりや鎖骨上部あたりもプチプチがあり、親指の爪の大きさくらいのしこりが感触でわかります。
1ヶ月余りで鎖骨上部にあったしこりが、首の耳の下あたりまで上がってきている恐怖が強くありました。
腋窩と首がつながっているのも知っていますし、リンパにも転移していたので「ここには出てくるよねー」、「こんだけ早かったら、やっぱちょっと覚悟しておいた方がいいよねー」と、この1ヶ月思っていました。
治療後にポジティブになっても、再発でネガティブになる自分
がんは1回こうなってしまえば治療全部を終えても、そこで終わりじゃないっていう気持ちが私にはすごくありました。
確率論には負けたくないですけど、5年生存率や10年生存率って言われている中で、私の型としては1年以内に再発する確率が70%くらいありました。
全ての治療が終わって転移も再発もなく、「じゃあ、好きに生きよう。好きに海外行って今できることをしよう」と思っても、首のしこりを見つけると「やっぱりダメかぁ、この1年楽しむことも許してもらえないんだろうか」と思いました。
自分のエンディングリストを線引いている場合じゃないんだなって思ったところです。
今日も目が覚めた。
友達とご飯に行けた。
スーパーの特売をゲットできた。
そういう楽しいことがある反面「これ何でこんな頑張っているんだろう」「ここまで頑張らなきゃいけないのかな」と、急に思うようになります。
でもそういうのは、感じて当たり前なのかなと思っています。
ネガティブな感情を許せない自分と許せることで楽になる人生
今私は、自分のネガティブな感情を許せない気持ちで、どんどんしんどくなったりしています。
頑張る私と、頑張りたくない私がいて、「大丈夫だよ、みんな支えてくれるし治療頑張ろう」というのと「また、あの苦しい治療やるの?頑張れるの?」「もう、止めたらいいんじゃない?」という、天使と悪魔が交互にでてきていました。
天使が多くなったり悪魔が多くなったりはするんですけど、私自身のネガティブな感情を、もっと許してあげられるようになったらいいなと今は思います。
これは、がんになっていなくて普通に生きている人も同じだと思います。
みんな、ポジティブなことがあって、ネガティブなことがありますよね。
ネガティブなときは、自分を否定してしまいがちだと思うんですけど「そういう思いもあるよね、しょうがないよね」と、自分を許してあげられたらもっと生きるのが楽になるのかなと思ったりします。
少し変な話になってしまったんですけど、このような気持ちが告知を受けた日の率直な気持ちです。