本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
放射線治療をしていると、皮膚が火傷状態になり、傷や痛みが出ることがあります。
治療によって生じた傷や痛みの緩和には保湿が有効です。
今回は、ゆりさんが放射線治療を受けていた時、保湿のために実際に使っていた物、そしてどのように保湿をしていたかについてのお話になります。
治療回数を重ねるごとに火傷状態になり、傷痕は今も消えない
実際に私が放射線治療を受けていたのは去年のこの時期ですが、かなり暑いですよね。
天気予報を見ても30度を越えているので、この時期に治療を受けられている方はかなりしんどいと思います。
元々私はそこまで皮膚が弱い方ではないので、放射線治療を受けた時も7回目、8回目あたりになるまではそんなに赤くなりませんでした。
でも治療が進み、皮膚が少しずつ赤くなり始めてからはどんどん火傷状態が進んでいきました。
そして最終的には首のシワのあたりにかなりジュクジュクの傷ができてしまって、今も痕が残っています。
はじめは市販のローションで保湿するも、最終的にヒルドイドを使用するまでに
火傷状態が悪化してジュクジュクになってしまうと、ローションを塗るだけでもすごく痛いです。
最初の頃は「ジョンソン・エンド・ジョンソン」で売っているようなピンクや紫色のボトルのボディーローションを使って保湿していました。
保湿の回数も最初はお風呂あがりに1日1回でしたが、赤みがかなり出始めてからはそれでは足りなくなり、効きも悪くなりました。
そこで先生に「ヒルドイドを出しても良いよ」と言われたので、医療用のヒルドイドローションを使い始めました。
ヒルドイドを使うようになってからは、1日2回から始めたんですけど、どんどん悪くなっていったので、最終的に1日4回塗っていました。
ヒルドイドを塗るタイミングは、朝に病院で治療を受けてから1回、職場の休憩中に1回、そして帰宅し入浴後に1回と就寝前に1回でした。
生活リズムがずれてしまった時も、最低でも1日3回は塗布していて、塗るタイミング以外の時間でも「皮膚が乾燥したな」と思ったらその都度追加で塗っていました。
ヒルドイドには先発品やジェネリックなど多くの種類があるので、先生と相談を
ヒルドイドにはテクスチャーや用途によって5つの種類に区分されます。
①:赤いキャップで固めのテクスチャーの「ヒルドイド軟膏」
②:ピンク色の本体で柔らかめのテクスチャーの「ヒルドイドソフト」
③:より柔らかく、もったりしたクリーム状のもの
④:泡で出てくるフォームタイプのもの
⑤:サラサラのローションタイプのもの
最初の2つは比較的ベーシックで昔からあるタイプ、後半の3つのヒルドイドは最近出てきたものです。
またヒルドイドは「先発品」と呼ばれる薬ですが、最近は「ジェネリック薬」や「後発品」という薬もたくさん出てきています。
先発品と後発品やジェネリックは何が違うかというと、ジェネリック薬の方が薬代が安いです。
同じ薬でも患者さんが種類を選べるので、最近では薬を出す時に先生に「先発品と後発品のどっちが良い?」と聞かれることも多いですよね。
しかし私の場合は薬をどちらにするか選ぶ時、先生に「ヒルドイドの方が後発品に比べて粘度が高いと感じる」と言われました。
それで私も「そっちの方が良いかも」となって、先発品であるヒルドイドローションを使っていました。
症状が悪化した場合には薬の変更も可能、症状がひどい箇所はステロイドも併用
私は治療を続けていくうちに、皮膚に触れるのすら痛くて大変な時期がありました。
皮膚にヒルロイドを塗り込むことすら痛くてできなかった時には、先生に「サラサラしていた方が塗りやすいかもしれない。もし良ければ後発品に薬を変えますか?」と提案してもらいました。
しかしそのタイミングが治療の最終週だったので「ここまで来たらもうこのままで大丈夫です」と言って、私は最後までヒルドイドローションを使用しました。
ただ、火傷状態が悪化してジュクジュクしている皮膚の箇所は、保湿だけでは治らないので、並行してステロイドも塗っていました。
ヒルドイドの使用に加え、入浴中にはバスミルクを使用して保湿を強化
ヒルドイドでの保湿を習慣化するなかで、私は「日常生活でもプラスアルファで保湿できる方法はないか」と考えました。
そして思いついたのが、お風呂の時にバスミルクを使用することです。
お風呂の温度が高いと皮膚が痛むので、お湯の温度を38度、39度くらいに設定して、そこにバスミルクやバスオイルを入れていました。
私は「日常生活の中で無理なく保湿できる環境を作る」ことをポイントにしていたので、「毎日入るお風呂にバスミルクを入れて、湯船でリフレッシュしている間に保湿もできる」のはとても良かったです。