本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
今回は、ゆりさんが経験した25回の放射線治療のお話になります。
放射線治療は25回〜30回くらい受けるのが一般的ですが、そもそも放射線治療とは何に効くものなのか、また治療回数の違いについても詳しくご紹介します。
放射線治療は癌細胞を修復させないために実施
乳癌の治療は、全身治療と局所治療があり、放射線治療は局所治療の分類になります。
正常な細胞と癌細胞がある場合、正常な細胞は傷ついても修復されて障害が起こりにくいのですが、癌細胞は傷が出来ると修復が不十分になり、細胞が戻れなくなります。
放射線治療の仕組みは、放射線を当てることで細胞のDNAを破壊、または、破損させ、癌細胞の線量を上げて傷を作り細胞が戻れなくなる、その効果を狙って放射線治療が行われます。
転移があった場合は鎖骨下の領域に放射線治療を行うのが主流
放射線治療の回数は人によって異なりますが、その回数の違いは、どこまでの領域に当てるのか、ということが大事になってきます。
乳房に関係するリンパ節は、大きく分けて3つあります。
レベル1:腋窩(わき)付近
レベル2:小胸筋付近
レベル3:鎖骨付近
最初の検査でレベル3までの転移があり、すでに取っている方もいるかもしれませんが、転移の状況によっては、取ったときと取らなかったときを比べると、あまり予後が変わらない、というデータが出ているそうなんです。
なので、リンパ節に転移があった場合は、腋窩までは取って、鎖骨下の領域に関しては放射線治療を行っていく、というのがスタンダードな治療法となってきています。
鎖骨にかかっていなくても、乳房は全照射するのが、今は当たり前の治療方法となっているということです。
教科書上では、リンパ節に4つ以上の感染が確認された場合、全照射という治療法で鎖骨領域まで放射線治療を行うのが推奨されています。
放射線治療の回数は25回を選択した
私の場合は、12個のリンパ節を取り、その中の6個が転移していました。
そこで、鎖骨までの放射線治療が必要だったんですけど、1クールでどのくらいの量になるのかは、積算量で決まります。
16回や25回という回数の決まりがある中で、私は25回を選んだのですが、当てる量は一緒なんですよ。
ただし、16回の方が1回の相対的な量が多くなります。
1回の量が多くなると、鎖骨に当てた際に安全性が確保されていないということがあり、私は、2グレイを25回でトータル50グレイを照射する、という方法で25回を選びました。
ちなみに、今お話しているのは、初発で手術をして癌細胞が無かったときの放射線治療についてなんですけど、再発する場合は回数や積算量が変わったりすると思います。
脳に転移した場合は頭に照射するので、今回は割愛しています。
私が受けた放射線治療の回数と治療をどういう目的で行うか、ということに関しては、ここまでに述べたことが主流となります。
次回も放射線治療の感想と体験談
私は、仕事を続けながら放射線治療をしたのですが、その時の仕事のことや、放射線治療に必要なマーキングが痛かった、などの体験談を次回もお伝えいたします。
あと、放射線治療の機械は大きく分けて3種類あるのですが、どの機械にしようか迷ったり、手術した病院と別の病院で放射線治療だけ受けようか迷ったり。
放射線治療に関する思ったことや迷ったことについて、次回から詳しくお話いたします。
記事は下記ボタンまたはこちらから。