本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
乳がんは、女性なら誰がかかってもおかしくない病気です。
今回はゆりさんが乳がんを発見した経緯、そして乳がん患者の増加に伴う検診の大切さに関するお話になります。
世界の乳がんの罹患率は増加傾向にあり、若い女性も発症する
乳がん患者の平均年齢は40歳前後ですが、日本の最年少の乳がん患者は16歳…高校生の女の子も乳がんになるんです。
日本では11人に1人の女性が乳がんにかかると言われています。
しかし、私が最初に解説した時は12人に1人という統計だったので、増加していることが分かりますね。
一方、欧米では7人に1人と、かなり多くの方が乳がんに罹患します。
このように数字で乳がんの罹患率を見ると、決して他人事ではない病気なんです。
胸にしこりが見つかっても、8割方は良性腫瘍
「乳がんは女性ならば誰がいつなってもおかしくない病気」と言いましたが、実は胸にしこりが見つかっても、検査をすると8割方は良性腫瘍です。
「胸にしこりがあるから乳がん」ではないんですね。
「8割乳がんじゃないんだ。それなら大丈夫」と思うかもしれませんが、実際に自分の胸にしこりがあったとします。
そのしこりが良性か悪性か自分でちゃんと分かっているのか、分からないで不安を抱えているのとでは、状況が180度違ってきますよね。
生理前後の胸の硬さに違和感があり、検診でステージ3の乳がんが発覚
私は28歳で胸にしこりを見つけた時、すでに腫瘍は5㎝大でした。
20代、30代の女性は母乳を出すための乳腺が発達しているので、基本的に胸が少し硬いんです。
だから意外にも、5㎝のしこりが胸にあっても「ちょっと胸が硬いかな?」くらいで、あまり気にしないんですよね。
でも胸の硬さって生理前後で変わってくるので…私が初めてしこりの違和感に気付いたのは生理後でした。
私は胸が生理前は張って硬くなって、生理後は柔らかくなるんですけど、その時は生理後なのに胸がかなり硬かったんです。
それで違和感に気付いて検診に行ったんですけど、その時点で「すでにステージ3、リンパ節への転移もある」状態でした。
もし発見が遅れていたら、今の私はいない
もし、気付くのが1年遅かったら、おそらく私の乳がんはステージ4になっていたはずです。
2年前の9月21日は、私が初めて乳がんの検診を受けた日です。
あの日検診に行かず、乳がんの発見が遅れて、ステージ4になって治療を続けていたら…こうしてドイツに来たり、好きなものを食べたり飲んだりすることもなかったでしょう。
9月21日は私にとって大きな人生のターニングポイントです。
病気にならないために、定期的な検診を
私は抗がん剤治療中も、なんだかんだ好きなものを食べていましたが、治療薬の作用で味覚障害が出て、食事を楽しめないこともありました。
しかし、今はドイツでかなり楽しめています。
乳がんは早期発見、早期治療が鉄則です。
私みたいに「ちょっといつもと違うな」と思ったらすぐに検診に行くことで、未来を変えられます。
なので女性の方は積極的に乳がん検診を受けてほしいですね。
もちろん乳がん検診だけではなく、年齢に応じた各種がん検診も同様です。
病気になってから対応するのではなく、病気にならないための対策を徹底してほしいです。
「仕事を休めない」「仕事が優先で自分のことは後回し」という働き盛りの年代だからこそ、がん検診や成人病検診を定期的にしっかり受けてもらいたいですね。