本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
今回は、ゆりさんの転移性皮膚腫瘍の保湿方法についてのお話です。
使用した保湿アイテムと保湿方法、おすすめできないアイテムをご紹介します。
腫瘍部分は油分のある軟膏で保湿
私の首の腫瘍は、腫瘍の数も多くなり色も変わってきています。基本的に悪性腫瘍の治療を受けている方の5~7%の方が、転移性皮膚腫瘍と呼ばれる皮膚腫瘍を発症すると言われています。
私はやけどの水ぶくれのような感じですごく赤くなっていて、膜が1枚ピラっと張っているような感じの状態です。
ヒリヒリして結構痛いです。
転移性の皮膚腫瘍は大きく3つに分けられるんですが、75%ぐらいの方が結節型で、ボコボコっと出てきて、急速に大きくなります。大きさの目安としては、3cm未満と言われています。
転移性皮膚腫瘍になる前も、なってからも絶対しないといけないのが保湿です。保湿はボディクリームを塗るだけでもいいのですが、油分の多い軟膏でしっかりカバーすることが一番いいという文献を見つけました。
「皮膚・排泄ケア」という皮膚や傷に特化した看護師が読むような雑誌の文献で、信頼できると思ったのでご紹介します。
まず「油分のある軟膏ってなんだ?」というところなのですが、実はとても身近にあるヴァセリンとかワセリンなんです。
容器にも油性クリームと表記されていて、油分のある軟膏なのですが、すごくベタベタします。
油分のある軟膏(ヴァセリン、ワセリン)で保湿を徹底する
ワセリンを使った保湿方法
手術した後に傷口に入れているドレーンと呼ばれるチューブがあります。
私は手術後にそのチューブから浸出液という液体が出てきてしまったので、その液体を抑えるためにシルキーポアドレッシングという大きな絆創膏みたいなものを貼っています。
現在はシルキーポアドレッシングを使用していますが、なくなったら大き目のガーゼとテープを買って代用しようと思っています。
まずシルキーポアドレッシングを開けて、ガーゼ部分にかなりべったり厚くワセリンを塗ります。
ドレッシング材のときはペラペラしてしまうので、端の部分を塗り残しながら注意してワセリンを塗るといいと思います。
全体的に保湿できるといいのですが、私は特に傷の強いところを守っていきたいので、赤くなっている部分に貼ります。
他のところも先にワセリンを塗ったほうがいいのですが、他の部分に先にワセリンを塗ってしまうと、テープ自体の粘着力がかなり弱くなってしまいます。ですので、できるだけ結節の部分を避けながら貼ります。
貼り終わったら残りのワセリンを他の腫瘍に塗り込むようにしています。
ワセリンを使っていると毎日服を着替えたりしないといけないので、普段はラッシュガードのようなピタっと体に密着するような服を着ていました。首の襟ぐりの高いものを着て、できるだけワセリンをつけたくない服と分けながら、保湿をして生活しています。
【シルキーポアドレッシングを使った保湿方法】
①ガーゼ部分に厚くワセリンを塗る
※端の部分は塗らないようにする
②傷の強いところ(赤くなっている部分)に貼る
※結節の部分を避けて貼る
③残りのワセリンを他の腫瘍に塗り込む
粘着力の高いテープがおすすめできない理由
あまりおすすめできないものがあります。それは、粘着力の高いテープです。粘着力の高いテープを使ってしまうと、腫瘍が出てきて弱っている皮膚の部分がズルっとむけてしまう可能性があります。
ズルっとむけてしまうと傷が治りにくくなり、別の治療が必要になることもあります。ジュクジュクの傷にはキズパワーパッドが向いています。浸出液の水分をしっかり吸収することで傷の治りが早くなっていきます。
しかし、首の腫瘍は水分が出ていないので、本来いい面であるはずの吸着力だけが残ってしまって、次剥がすときに傷がついてしまうことがあります。
ですので、できるだけ粘着力の高いテープや被覆材は避けたほうがいいです。
結節ができ、腫瘍が大きくなってきた場合に、できるだけ皮膚を清潔に保ちながら保湿するのが大事です。
文献を読んでいると、再移転している方もいらっしゃるので、どのようにしたらいいか迷っている方や、先生に相談できていない方の参考になるとうれしいです。