本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
抗がん剤の一種、タキサン系の薬である「パクリタキセル」は、抗がん剤治療の効果としてよく見られる「吐き気」以外の部分で症状が出る薬です。
今回はそのパクリタキセルと、使用中の方が行うべきセルフケアについての、ゆりさんの体験談になります。
パクリタキセルを使って治療をすると皮膚障害が発生
パクリタキセルを使用した抗がん剤治療をしていて、私がまずしんどかったことは手足症候群という皮膚障害です。
抗がん剤治療の副作用で、皮膚障害と聞くとピンと来ないですよね。
スタンダードな抗がん剤の副作用としては、AC療法でみられる遅発性の吐き気の方がよく知られていますが、今回はこの皮膚障害についても知ってもらいたいです。
パクリタキセルの投与で身体に出る症状2つとその詳細
パクリタキセルが及ぼす大きな副作用は以下2点です。
①:歩きづらい
②:指先で細かい作業ができない
私の場合は足から先に症状が現れました。
パクリタキセルを投与してから3回目ぐらいまでは結構赤くなるような感じだったので、ちょっと保湿するくらいで済んでいたんですが、徐々に足の裏にだけ正座をした後に「ジーン」としびれるような感覚が出てきて、それと共にむくみも出てきました。
次に手にもちょっと赤く…赤黄色になってくるって言うんですかね。肝臓が悪い人とかって肌がちょっと黄色くなってきたりするんですけど、本当にそういう感じです。
手が赤黄色い感じになってきて…。そしてどんどん手がむくんできて「ジーン」という感覚に加え、指が曲がらなくなりました。
無理に指を曲げようとして限界までぐっと握ると、「ジーン」という感覚が出てきて、それこそちょっと硬いペンを持つだけでも痛かったです。私は当時ペンだこみたいなものができました。
手足症候群の対応で重視すべきは保湿と浮腫み取り
手足症候群の対処として、靴を変えたり、保湿をしっかりしたりとか、靴下を履いたりという工夫をして対応していました。
浮腫みがしんどいと、マッサージする気も全然起きないんですが、ちょっとだけオイルをつけてマッサージしつつ「ラシックス」という利尿剤を使っていました。
私の場合は朝と夜で体重が3キロぐらい変わってしまうほど体内に水がたまっていたので、薬剤や自分へのマッサージ等でいろいろな対応をとっていました。
パクリタキセルの使用中に重視すべき5つのセルフケア
パクリタキセルを使用している方が日常生活でやるべきセルフケアは5つあります。
①:物理的刺激を避ける
②:熱刺激を避ける
③:皮膚を保護する
④:靴のサイズ調整する
⑤:患部の清潔を徹底し、直射日光を避ける
1つ目の物理的刺激とは、締め付けの強い靴下を履くとか、長時間歩くことを指します。洗剤で洗い物をしている場合、そういった薬物の刺激があるのかどうかを知ることも大事です。
とにかく直接皮膚に関わってくるような刺激を減らすことが重要です。
2つ目の熱刺激は、1つ目の物理的刺激と似ています。お風呂に入る時なんて、冬の時期は寒いですよね。
洗い物をする時に水道の温度調整されている方も多いと思うんですけど、そういう熱い刺激とかでも症状が悪化することがあるので、避けることをおすすめします。
3つ目の皮膚の保護に関しては、季節的に乾燥してきたということもあるので、保湿をしたり、手袋を着けたり、靴下も綿の厚いものを使用するという工夫で対応できます。
4つ目の靴のサイズ調整ですが、足が浮腫んできつくなってしまうことを避けるため、サイズが大きめのものを選んで履いています。
もし浮腫んだ状態で履いてもサイズが大きかった時には厚みのある柔らかいインソールを入れて対応していました。
5つ目、とにかく患部は清潔に保つことが何より大切です。抗がん剤治療中は免疫力が下がっているので、小さな傷や汚れからも感染症や肌荒れを起こすリスクがあります。
また直射日光に当たらないことも心掛けてください。
次回は抗がん剤治療の一種である「CVポート」に関する治療内容の解説やメリットデメリットに関するお話ができればと思います。