本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
抗がん剤治療中は体調の変化が読めず、日々の予定を立てるのが難しいですよね。そんな時は毎日手帳に体調をメモすると、外出の計画、治療のスケジューリングが楽にできます。
今回は抗がん剤治療中のゆりさんが気付いた、日常生活を楽に送るための予定の立て方や過ごし方のポイントに関する体験談になります。
「自分の体調がいつなら良くて、どれくらい動けるか」を知ることが重要
抗がん剤を使っていると、日常的に体調のアップダウンがあります。
抗がん剤投与後は「投薬から1週間後の体調がどうか」をみます。ただ体調チェックのペースは治療法によって違い、AC療法だと2週間ごと、FEC療法だと3週間ごとになります。
なので次回の体調チェックまでに「この時間帯は体調が良くて、比較的動ける」という自分なりのリズムを掴むことが大事です。
リズムを掴めると体調管理もしやすいですし、何より気楽に外出できるようになります。
生活リズムの把握には「バーチカル型手帳」が不可欠
私が自分のリズムを把握するために「バーチカル型手帳」を愛用しています。
バーチカル型手帳とは、通常の手帳のようにカレンダー型ではなく、時間軸で1日の動きや予定が詳細に書き込めるページがある手帳のことです。
私が使っているのは朝7時から夜10時まで書き込めるタイプですね。
もちろん普通の手帳を使っても問題ありません。自分で使いやすい、書き込みやすいタイプの手帳やメモを見つけましょう。
自分の治療日に合わせて記入をスタート、体調や気付きをメモ
私がバーチカル型手帳を使う1番のメリットは「日付が入っていない」ということです。
「日付を自分で書ける」ということは、つまり「書き始めを自分が治療した曜日に合わせられる」から使い勝手が良いんです。
実際、私は金曜日に投薬したので、手帳は金曜日スタートです。
まず「投薬開始」と書いて、続けてその日の体調をメモします。体調メモの内容は簡潔に「熱の有無」や「食事が摂れたか」がメインですね。
メモには1日の生活の流れや食事内容、トイレの回数も忘れずに記入
メモにはとにかく「体調がどうか」を毎日書きます。
・治療翌日は何時に起きて、ご飯はどれくらい食べられたか
・熱がどうだったか
・トイレの回数
トイレの回数の記録って意外と重要なんです。
抗がん剤治療をしていると下痢や便秘といったトラブルになりがちです。また、私が痛み止めとして飲んでいる「オキシコドン」という薬も、かなり便秘になりやすいんです。
だからトイレの回数もメモしておかないと「最後に出たの何日前だっけ?」と忘れてしまうんです。
抗がん剤治療者にとっては便秘や切れ痔も感染リスクがある
私は1度トイレの回数をメモし忘れていたことがあって…気付いた時には3日間お通じがありませんでした。次に出た時にはかなり硬いお通じで…肛門が切れて血が出ましたね。
健常者であれば「ただの切れ痔でしょ?」とあまり気にしないですよね。でも抗がん剤治療者は免疫が弱っているので、こういうお尻の傷からも重篤な感染リスクがあるから怖いんです。
「お通じ」「お小水」の回数はケアの指標になるので必ずメモ
私は普段、漢方でお通じのコントロールをしています。
薬のおかげでリズムとしては1日もしくは2日に1回お通じがある状態です。なので2日間出なかったら「体調が悪いかも…別の薬を飲もうかな」と考える指標にしています。
また「お通じの回数」だけではなく、「お小水の回数」も書くことをおすすめします。
1日を通して、あまりにもお小水の回数が少ない時は「体内の水分が足りてないのかも」と気付いて水分を多めに摂るようにして、自分の身体をケアしています。
治療後の生活リズムの変化の記録は、次回以降の安心材料になる。
FEC療法の時はステロイドを使うので、不眠になりやすいです。
そういう時には体調の変化に加えて、睡眠時間もメモしておきます。
メモを見返すと、「前回の治療後、ステロイドの影響で眠れない時期が5日間あり、6日目から眠れるようになった」と書いてありました。
このようにメモしてあると、次に同じ治療をする時に見返すことで「前回は5日を超えたら眠れたから、今回もそのくらいかな」と体調変化の目安になるので安心できます。
継続してメモすると、自分の体調の規則性に気付ける
体調の変化を毎回メモしていると、そのうち「いつも大体3日目まではしんどいけど、4日目からは午前中なら動ける」とか「昼過ぎから夕方6時くらいまでは比較的体調が良い」といった自分の体調のリズムに気付きます。
このリズムが分かれば、その時間帯に買い物行ったり、用事を済ませに出かけたりできるようになって日常生活がかなり楽になります。
薬の時間をメモしておくことで、飲みすぎ防止にも役立った
私は今、腫瘍が大きくなってきたのでレスキューの痛み止めを使っています。
この痛み止めを使うと、服用から1時間は同じ薬は使えません。
ちゃんと「さっきいつ薬を飲んだか」を覚えていれば良いんですけど、痛みが強い時は「とにかく薬を飲まなきゃ!」と思って薬を飲むので…そこまで頭が働かないんですよね。
そういう時にも手帳に服薬した時間をメモしておけば、次に痛みが来た時に「薬を飲んで良いのかどうか」がすぐ判断できて助かります。
私の場合は痛み止めを飲む機会も多かったので、時系列で体調をメモすることの大切さを痛感しました。