注意事項

本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。

本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。

今回はFEC療法についてのお話です。

ゆりさんは、初発治療のときにはAC療法を行っていました。AC療法時の副作用や日常のスケジュールに関しては、別の記事に掲載していますのでそちらを参照してください。

今回の記事では、以下3点について解説します。

ポイント

①:同じ薬を使うにあたって同じ治療法を2回できるのかについて
②:身体への負担が大きいDDAC療法と、免疫改善の見込みがあるFEC療法のジーラスタ投与による副作用の変化がどれくらいあったのかについて
③:AC療法とFEC療法で似たような薬を使っていたことによる副作用の違いがあったのかについて

同じ薬を使うにあたって同じ治療を2回できるのか

抗がん剤には何度か使える薬と総投与量上限がある薬があります。

総投与量上限というのは、体重で何グラムを投与できるのかが決まっていて、上限を超えてしまうと心不全や別の重篤な副作用につながってしまうということで、使えないお薬があったりします。

私はAC療法、FEC療法で使っている薬の中で、その総投与量上限にあたる薬があるので、今回のFEC療法が終わったら同じ薬はもう一生涯使えません。

例えば、パクリタキセルであれば、その総投与量上限にはあたらないので、「再発しましたー」となってパクリタキセルがよく効くのであれば、効果が見込めるうちは、再発治療中でも何度も使うことができます。

抗がん剤治療をする時は、私たち治療を受けている側は「治ってほしい、がん細胞が無くなくなってほしい」ってすごく思うんですが、治療の腫瘍がおおきく増大しないことや維持できるというところも治療効果の1つではあるんですよね。

私はFEC療法では、腫瘍は大きくも小さくもならなかったんですが、ある程度の維持ができたというところで治療効果はありました。

それでも、使っていた薬は総投与量上限にあたってこれ以上私の身体には使えず、また新たな薬に変わりました。

身体に影響の強い薬だと、こういう総投与量上限に当たるような薬が多い印象なので、どのお薬を皆さんが使われるかは人によってちょっと変わってくるかなと思います。

身体への負担が大きいDDAC療法と、免疫改善の見込みがあるFEC療法のジーラスタ投与による副作用の変化

ジーラスタを投与しているのとしていないのとでは、白血球の下がり方が変わってきます。

初発でAC療法をやっているときは、短いスパンで抗がん剤投与をしていたので、結構身体はしんどくて、負担は大きかったんですけど、白血球は下がらなかったんです。なので、発熱性好中球減少症などは大丈夫でした。

FEC療法をやった時には白血球は上がってくるんですけど、それでも最終の4クール目にかかってくると、どうしてもちょっとずつ減っていた白血球がギリギリになってしまいました。

そのため熱が出てしまい、「ちょっと発熱性好中球減少症だったかなぁ」という状態になったことがありました。

採血を毎度やっていて大丈夫だったんですけど、それでもその時期は自宅療養をしていたので、一番下がる時期の4クール目は「ジーラスタを打つだけの効果はあったのかなぁ」と思います。

ただ初発のときは、ジーラスタを投与していると関節痛などの副作用がありました。

FEC療法やAC療法、EC療法は、3日目か4日目くらいは強めの吐き気が遷延するんですけど、5日目になってくると私の場合は、吐き気など抗がん剤の副作用は割と少なくなり過ごしていました。

ですが、ジーラスタによる関節痛や身体のだるさが4日目や5日目あたりからでてきて、1週間くらい起き上がるのがしんどい時期がありました。

ジーラスタを投与していると、痛みやだるさなど抗がん剤の副作用と勘違いしやすいんですけど、実はジーラスタからきている場合もあるので、先生と相談したうえでロキソニンなどの痛み止めを使って調整していく必要があります。

AC療法とFEC療法で似たような薬を使っていたことによる副作用の違いがあったのかについて

「AC療法とFEC療法で副作用の違いがあったのか」についてですが、期間が違ったりなど状況が違います。

また、色んな抗がん剤を使ってきてからのFEC療法で、主観がちょっと変わってくるので比べるのが難しいです。

元気なときに受けた抗がん剤治療と、身体に負担が大きくなってきてからの抗がん剤治療なので。

ただ、最初の3日間の生活は、どちらもほとんど変わらなかったかなって思います。
吐き気がグッときたりもしたんですけど、ある程度吐き気止めでコントロールできていました。

あとは、1クール目のタイムスケジューリングができてしまえば、2クール目からはある程度動けるっていうことが分かって、自分の予定もしっかりと立てることができました。

他の人の副作用や対処法を知ることで、快適な生活を

これからAC療法やEC療法、FEC療法を受ける人は、すごく不安だと思います。

「あの人はこの治療をしていたのに、私はこっちの治療。何でこういう風に違いがあるのかな?」と考えたりすると思います。

こういう治療を決めるときは、ほとんどの場合がガイドラインに則ったスタンダードな治療を選んでいるはずです。

治療の名前が違うということに目を向けるよりは、同じような治療をしている中で、この人はどういう副作用がでて、どう対処したのかというところに目を向けたほうが良いです。

がんサバイバーの人で最近情報を発信している人が凄く増えてきました。

その人が「どの治療をしていたときにどういう副作用がでた。だからこういう対処をしていました」という色んな情報をつまみ食いしておくと、自分に症状がでたときに対処できたりしますよ。

楽に日常生活を過ごしていっていただけるような情報の取り方をしてもらえたら嬉しいなと思います。