本記事は、YouTubeで発信されている「乳がんサバイバー看護師」ゆりさんの体験談をまとめたものです。
ゆりさんの担当医である、大阪医科薬科大学 乳腺・内分泌外科 岩本充彦先生の「ゆりさんの一人の患者として、また看護師として、まだ見ぬ誰かを、あるいは多くの乳癌患者を、自身の経験を語ることで勇気づけたいとする想いを繋げていきたい」というお気持ちに賛同して作成しています。
本記事は、ゆりさんご本人の主観を優先しているため、科学的根拠等について医師監修は行っておりません。
そのため、ご紹介内容の実例は全てを保証するものでは無いことをご留意ください。
抗がん剤治療中には「発熱性好中球減少症」という症状が出ることがあります。この症状が出たら、気を付けないといけないことが多くあります。
今回はゆりさんが経験した「発熱性好中球減少症」の症状や対応で気を付けるポイントに関する体験談になります。
抗がん剤治療中は軽い体調不良に対して鈍感になりがち
抗がん剤治療を長くやっていると、「今、自分の体調が悪いかどうか」にどんどん鈍感になっていってしまいます。
がん治療が続くと、痛いことや苦しいことの連続なので、「1番しんどかったあの時に比べたら今回は楽だから大丈夫」と思いがちなんですよね。
私自身も体調不良かどうかの判断がつかず…「ちょっと吐き気があるかな?ムカムカするけど、大丈夫か」みたいなことが多いです。
こうして「まだ大丈夫」「このくらいなら大丈夫」と思って無理に動いてしまった結果、後からけっこう強い反動が返ってきて…そこでやっと「やっぱりしんどかった」と気付きます。
免疫が下がったタイミングを見逃さない
私に発熱性好中球減少症が起きたのは、FEC療法の3クール目が終わった2週間後でした。
抗がん剤治療は色んな種類があります。中でもAC療法やEC療法、FEC療法は白血球の一部の免疫細胞の好中球に影響を与えやすい薬を使うので、症状が出やすいです。
私がAC療法をしていた時は、ジーラスタという好中球を増やす注射を打っていました。
今回おこなったFEC療法は「休薬期間である3週間の間に免疫の改善が見込める治療」でした。
なのでジーラスタを打ってなかったんです。
抗がん剤を打つと、2週間くらいで好中球の数値や免疫が一番下がります。私もちょうど2週間経ったタイミングで関節痛が出ました。
白血球は骨髄で作られるので、関節痛が出るということは免疫が働いている証拠なんです。なので関節痛があると「やっぱり今は免疫が下がっているのかな」と思うようになりました。
関節痛は、免疫が下がっているというサインになる
38度以上の発熱…クラビットを飲んで落ち着くも、再度発熱
私は起床時と就寝前に検温していますが、熱を測って38度5分を超えていたら、とりあえずクラビットを飲みます。
抗がん剤治療中の方は、先生に「37度5分以上の熱が出た時は、クラビットを3日間飲んで下さい」と必ず言われます。
そこでクラビットを飲み始めて2日経っても熱が下がらなくて、3日目でやっと大体37度後半になりました。
発熱が落ち着かないので、「明日も熱があったら受診だな」と思っていたら、翌日には下がりました。
それで安心して、とりあえず水分をたくさん摂って、受診せずにずっとベッドの上でダラダラと過ごしていましたが、また発熱したんです。
高熱で不安になり病院に連絡するも、検査では目立った異常なし
その時も38度5分を超えていたので「これはちょっと良くないかもしれない」と思って、その時点で外来に電話しました。
電話で熱の状態やいつから症状があるかを説明して、近々抗がん剤治療予定があることも伝えました。
先生には「高熱で食事が摂れないといった重い症状がなければ、急がず明日の受診で大丈夫です。ただ、明日の抗がん剤治療はできません」と言われました。
それで翌日朝一で受診して、採血や検温をしましたが、病院に着いた時には熱も下がり、関節痛も落ち着いていました。
検査の結果、数値的にもちょっと感染兆候があって、CRPの数値は通常より高めでした。
ただ好中球の数値は大丈夫で、貧血や脱水といった症状もありませんでした。
そこで先生が「体力的に大丈夫なら今日抗がん剤を打ってもいい」と言ってくれたので「それなら打ちます」となって結局予定通り抗がん剤治療を行いました。
発熱性好中球減少症が悪化しないよう注意する
私自身も熱はクラビットで下がったので「大丈夫かな」と油断していましたが、発熱性好中球減少症には十分に気をつけないといけません。
免疫が弱っている時に体内にウイルスが入ると、どうすることもできずに体の中でウイルスが増殖し続けます。
それが原因でショック状態になったり、全身状態が一気に悪化することもあります。
私の場合、今回は熱が出た1週間の間にウイルスにかかることもなく、免疫も回復したので大丈夫でした。でもその時にもし何かしらのウイルスにかかっていたら、危なかったかもしれません。
自分の免疫力を過信せず、検温を習慣に
抗がん剤治療中は人一倍体調に気を付けないといけないので、発熱したらすぐ受診する方が多いです。なので大丈夫だとは思いますが、いま一度「熱を測ることの大切さ」を知ってほしいですね。
今回私も朝晩2回の検温をしていたおかげで症状に気付けました。
「体感で辛くないから大丈夫」と自分の体力や免疫力を過信せず、検温を習慣にしてほしいです。
毎日朝晩の検温を習慣にすることで、自分の体調の変化に気づくことができる